偽りの結婚

完全なる失恋




ラルフが風邪を引いた夜―――

今私は一人パーティーへ来ていた。



ラルフを置いてきちゃったけど大丈夫かしら。

ラルフが深い眠りについてから約束通り、私はずっと付き添ってその部屋ですごした。

離宮から帰ってきたソフィア達を迎える為に一度部屋を出てしまったので、起きたかは定かではないが、この会場に来る前にラルフの様子を窺いに部屋へ向かったが、まだ眠っている様子だった。


ラルフが出席しないにしろ、私まで出席しないわけにはいかず、今に至る。

会場では、紳士淑女が食事をとりながら談笑している。




料理、間に合ったのね。



朝から作っていた料理も、なんとかパーティーまでには間に合ったらしい。

いつもと変わらず、見栄えも味も良い料理がずらりと並んでいた。




「シェイリーンさん」


不意に後ろから声を掛けられ振り向くと、そこには変わらぬ美しさの姫君がいた。


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