偽りの結婚




私の髪を梳く癖はいつもだが、その瞳はいつもの余裕はなくラルフの心情を表す様に揺れていた。



「おはようございます」


掠れた声が寝室に響く。

それを聞いてラルフは眉を寄せた。



「体は大丈夫か?」

「大丈夫…です」


こちらの様子を窺うように問われた言葉に、顔を赤らめながら答える。

そして、思い出される昨夜の情事。



ラルフはやっぱり初めてじゃないわよね……


経験豊富そうだったが、私はもちろん初めて。

初めてがもたらす体への負担は想像以上で、腰はズキズキと痛いし、手はシーツをギュッと握りしめたお陰で筋肉痛のようだ。

初めてにもかかわらず散々酷使された体は全身が気だるく、鉛のように重かった。




ベッドに深く体を沈めたまま答える私の言葉を信じなかったのか、ラルフの苦しそうな表情のまま。



< 405 / 561 >

この作品をシェア

pagetop