偽りの結婚




私は振られたと言うのにね。

王宮を出てちょうど一日が経った。

ラルフももう手紙は見ているはず。



そして、手紙を見ても追って来てくれないということは、離婚を受け入れたということ。

最初から追って来きてくれると期待していたわけではない。

けれど締め付けられる胸はやはりラルフの事を諦めきれていない証拠なのだろうか。





パンッ―――

自分の思考を遮るように、軽く頬を叩く。




「追って来てくれるはずなんてないって分かっていたことじゃない」


口にすると溢れだしそうな感情を抑えるために、誰もいない部屋に向かって呟いた。

言葉とは裏腹に、ふうっと溜息をつくが気分は全く晴れてはいない。

こんなことをずっと考えていても仕方がないと思い、ベッドに横たわろうとする。





すると…


コンコンッ―――

遠慮がちに部屋の扉が叩かれる。



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