Parting tears
 少し憂鬱な気分になりながら、私は電話に出た。


「もしもし結麻? 今隼人帰ったとこだよ。会わない? 俺すぐにでも会いたい」


 いつの間にか、和哉、結麻と呼び捨てになり、和哉の会いたいという声に私はうっとりしていた。


「うん。私も会いたい。会いにいくよ」


「じゃ、高山台公園で」


 私は急いで高山台公園に向かった。

 和哉に会いたい気持ちが溢れ、胸が弾んでいたのである。
 高山台公園に着く頃には息切れをしていた。丁度、和哉も到着したところで、やはり息切れをしている。お互い少しでも早く会いたかったことが分かり、顔を見合わせ笑った。

 そして、高山台公園のベンチに並んで腰掛けると、和哉は嬉しそうな顔をしている。


「どうしたの? そんなに嬉しそうな顔して」


「だって、俺結麻と付き合ってるんだよなぁって思ったら、嬉しくてさ」


 和哉は私なんかより、ずっと純情だなと思った。けれども私はそんな和哉が愛しくて堪らなかった。


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