Parting tears
 温泉には幸い他のお客さんが入ってなかったので、私と和哉だけだったから、私はタオルを外そうとしたのだが、和哉に慌てて止められた。


「駄目だよ。いつ男が入ってくるか分からないのに」


「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」


「いや、頼むからタオル巻いてくれ」


 和哉のあまりの必死さに、私は愛されている実感を得られた。

 そして温泉に浸かり、仲直りをすると、どの宿に泊まろうか話していた。


「和哉が知っている宿は?」


「そうだな。後で行ってみよう。事前に宿の予約しなくてごめんな。どこも空いているだろうと思ってたんだ」


「そんなの別にいいよ。和哉と一緒なら楽しいし」


 そして温泉を出た私達は車に戻ったのだが、どうも左手首が変なままだったので、首を傾げていると、和哉が心配そうに訊いてきた。


「やっぱり病院行った方がいいよ。俺知っている病院あるから。助手席乗れよ。俺が運転する」


 私は和哉の云う通り病院へ行くことにした。

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