Parting tears
「もしもし、ヨシ君? 今大丈夫?」


「ああ、今ゲームしてたよ。結麻、何かあった? 機嫌悪そうだな」


「サッカーの試合があって打ち上げだったんだけど、武山先輩って変わってない?」


「何かされたのか?」


 ヨシ君は心配そうに訊いてきたので、私は武山の不愉快な行動を全て話した。


「うわ~、あいつ気持ち悪いな。結麻気をつけろよ。俺もさ、結麻がサッカーのチームに入ってから知ったんだけど、あいつの部屋、結麻の写真だらけらしいよ」


「嘘?! 何それ気持ち悪いよ。何で?」


「好きなんだろうな。今まで隠れて写真撮ってたんじゃないか。俺もこの前、同級生だった奴から聞いたばかりなんだよ。だから武山に、結麻が彼氏いること云ったんだけどな」


「そうなんだ。嫌だなぁ」


「だから気をつけろよ」


 電話を切ったのだが、憂鬱な話しに私はがっくり肩を落とした。

 そうだ、和哉と最近話してないなと、ふと思ったが、電話を掛けることは躊躇した。どうせいつだって会おうと思えば会えるし、話そうと思えば話せるのだから。

 駅からの帰り道、何組かのカップルを見た。
 楽しそうだな。でも日曜日の夜は「またね」って好きな人と別れるのが寂しいんだよね。そういえば私と和哉もあんなふうだった。日曜日の夜は一番寂しくなる。月曜日が来なければいいのにと、何度も思ったこともあったのに……。

 溜息を吐き、私は家路についたのだった。

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