Parting tears
第十二話 獅子座流星群
 試合の打ち上げからまもなく、私はとうとう武山から告白された。

 サッカーの練習の帰り、送って行くと云われ、断ったのだが勝手に着いてきた時である。


「実はずっと好きだったんだ。陸上で活躍してた頃から。彼氏がいるのはヨシから聞いて知ってるけど、俺と付き合って欲しい」


 私は武山を恋愛対象として見ていなかったし、付き合うつもりもなかったので、ハッキリと断った。それなのに、武山はしつこい行動を取るようになっていったのである。

 既にその頃の私は、アルバイト生活を止め、大好きな洋服を掲載する雑誌社で働き始めていたのだが、家に帰ると待ち伏せされていたり、しつこく電話をかけてきたりしていた。何度も止めて下さいと云ったのだが、武山の中では勝手に私を恋人だと思い込んでいるような素振りだった。

 そんなことが続き、仕事が忙しくなっていたこともあり、私は無性に和哉に会いたくなり電話を掛けた。自分勝手だなと今となってはそう思う。
 けれども和哉は携帯も自宅の電話も出なかった。

 夜遅くなってから、電話を掛け直してきたのだが、電話に気付かなかったという。


「気付かないなんて嘘でしょ? 何かやましいことでもあるんじゃないの?」


 つい私はそんなことを云ってしまった。


「やましいことなんてないよ。結麻こそ俺に何か隠してるんじゃない?」


 売り言葉に買い言葉だった。私は不安だったのかもしれない。和哉は時々、携帯にも自宅の電話にも出ない時があり、美久の件があってから私は知らず知らずのうち、少しづつ和哉を疑っていたのかもしれない。それは和哉も同じだろう。まして私は和哉に内緒でサッカーを始めたのだし。
 
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