午前0時のシンデレラ

「ほら、降りろ不機嫌なお嬢様」


「…不機嫌じゃないわよ失礼ね」


柳を睨み付けながら車を降りると、子供たちのはしゃぎ声が聞こえてきた。


休日だからか、家族連れがたくさんいて、あたしは思わず顔をしかめる。


…家族でどこかに出かけたのは、もう何年前だったかな…



そんなことを考えていると、急に視界に柳の顔が飛び込んで来た。


「ん、なッ!?」


「何ぼーっと突っ立ってんだよ、行くぞ」


ぐいっと手を引かれ、チケット売り場まで連れていかれる。


「大人2枚」


「7000円でございます」


素早く支払いを終えた柳は、チケットを1枚あたしに渡した。


「あ…ありがとう、お金…」


「いらない。ほら、早く中入るぞ」


再び手を引かれ、あたしたちは園内に入った。


途端に広がる、夢のような世界。


この胸のドキドキは、きっと初めての遊園地に浮かれてるから。


…そうだよね?

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