午前0時のシンデレラ

*‥‥‥‥‥


「………ま、咲良お嬢様っ!」


ハッと目を覚ますと、見慣れないメイドの姿があった。


「…え?」


「え?じゃありませんよ。こんな所でお休みになるなんて…」


いまいち冴えない頭で辺りを見渡すと、どうやらあたしは客室のソファで寝ていたらしい。


「…柳は?」


「柳さんなら、今日1日休暇を取られるそうですよ」


休暇?何で休暇なんか…


そこであたしは、ようやく昨日の出来事を思い出した。


「?お嬢様、お顔が赤く…」


「なってないっ!」


慌ててメイドから顔を背けると、そっと手で唇に触れた。


…キス、したんだ。


「………」


嬉しくなんかない。

だって、柳はきっと、あたしにしたんじゃないから。


だから気まずくなって、こんな中途半端な日に休暇なんか取ったのよ。


あたしに会いたくないんでしょう?


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