午前0時のシンデレラ

解いたあとに答え合わせをすると、見事に正解。


「やった!ほら見なさいよ、バカ柳」


あたしだって、やればできるんだから!


届くことのない悪態をつくと、急に虚しくなって問題集を閉じた。


…ねぇ、あんたがいないと意味ないんだよ、柳。


どれたけ難しい問題が解けても、あんたが褒めてくれないと―――…


「…咲良お嬢様?」


扉を軽く叩く音と、メイドが名前を呼ぶ声が聞こえた。


「何?」


「お客様がいらっしやいました。お通ししてもよろしいですか?」


「お客…?」


心臓が、どくんと脈打った。


まさか、まさか―――…?


部屋の扉が、ゆっくりと開く。


「よぉ、咲良」


その影から現れた人物に、あたしは落胆の色を隠せなかった。


「……何で光………」


「相変わらず冷たいなぁ、咲良?」


ニヤニヤしながら部屋に入ってきたのは、池田光だった。


あの舞踏会以来だけど、全く変わってない。


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