午前0時のシンデレラ

何しに来たのかさっぱり分からないけど、今は光の相手をする元気はない。


「…あのね、悪いけど帰っ…」


「うっわ、お前ガリ勉強になったのかよ?」


………聞いてないし。


光はあたしが解いた問題集をしげしげと眺めると、あたしに視線を向けた。


「……咲良」


「何よ」


「俺、お前に言いたいことがあって来たんだ」


真剣な表情でそう言う光を、あたしはため息をついて見返した。


「だから、何?さっさと言ってよ」


「…お前なぁ…。もっとこう、ときめいたりとかしないわけ?」


「何であたしがあんたにときめかなきゃなんないのよ!」


もー、あたしは光の相手してる場合じゃないのに!


イライラして光を睨むと、光は肩を竦めた。


「わーかったって。んな睨むなよ。………柳のことだよ」


その名前が出た瞬間、心臓が大きく跳ねた。


あたしの心は、バカみたいに正直だ。


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