午前0時のシンデレラ

そのときふと、疑問に思ったことをあたしは口にした。


「ねぇ、あたしの世話係になったのって、やっぱりジュリアさんに似てるから?」


あたしの問いに、柳は困ったように頷いた。


「まぁ…そうだな。たまたま街で咲良見たときは驚いたし、興味本意で近づいてみたんだ」


「…あんたシスコンね」


「ほっとけ。実際性格もそっくりだし、池田との関係まで樹里亜と似てるし」


光との関係…ああ、敵対関係ってこと?


だから前、柳の態度がおかしくなって、あたしに光との関係を問いただしたの?



過去の疑問が、すっきりと晴れていく。


同時に、あたしの心のモヤモヤも。


ジュリアさんが好きじゃないって分かった瞬間、自分でも呆れるくらいに安心した。



目が合うと、柳は優しく微笑む。


「でも、やっぱ似てないな。咲良は咲良だ」


「…最初から、そう言ってるでしょ」


―――やっと。


やっと柳は、"あたし"を見てくれたのかもしれない。


それだけで、もう十分だ。


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