午前0時のシンデレラ

「……柳」


「ん?」


あたしを変えてくれたのは、間違いなく柳だった。


心から、あたしはあたしで良かったと思えるようになった。


…あたしの魔法使いは、柳しかいないの。



「―――――帰ってきて」



あたしの、隣に。


思ったよりも弱々しく響いた声に、あたしは恥ずかしくなって俯いた。


微かに聞こえた笑い声に顔を上げると、優しい温もりに包まれる。


「……え…?」


「帰ってきなさい、じゃないんだな」


柳の笑い声が、すぐ耳元で聞こえる。


抱きしめられている、という事実に気づくのに、5秒はかかった。


「ん、なっ!? ちょっと柳っ!?」


体温が一気に急上昇して、あたしは柳の腕から逃れようともがく。


けど柳の腕は、あたしを逃がしてくれない。


「そんなに暴れてっと、キスすんぞ」


「~~~っ!?」


身体がゆっくりと離れ、目の前にいる柳と視線が絡む。


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