午前0時のシンデレラ
すぐ近くで、柳の体温を感じる。
あんなに遠く感じてた柳の心は、今、あたしの隣にあるって信じてもいいよね?
「柳…好き」
「俺も」
柳がフッと笑った次の瞬間、あたしの視界がぐるっと反転した。
「………へ!?」
呆然としながらも、今この状況を言い表すなら…お姫様だっこ?
「ちょっ、何す…っ!重いから降ろして!」
「重くないですよ、シンデレラ?」
さっきは太った?とか訊いてきたくせに!
あたしは為す術もなく柳に抱えられたまま、その横顔を見ていた。
「…よし、到着」
ボスッと音と共に降ろされ、その柔らかい感触から、自分がいる場所が瞬時に分かる。
………ベッドの、上。
「~きゃあああぁぁっ!」
「何だようるせーな」
「柳のバカ!変態っ!」
ベッドから必死に離れようとするあたしの腕を、柳が掴む。
「―――逃がさない」
逃れられないと、思った。