午前0時のシンデレラ

「俺さぁ…本気でお前の下僕になった気がしてきた」


「あら、それはよかった」


「よくねぇよ」


苦笑しながら歩き出す柳に、あたしは大人しくついていく。


…誰かと手を繋いだのなんて、いつぶりだろう。


そんなことを考えながら、屋敷へと向かう。



屋敷へ着くまで、あたしたちは一言も話さなかった。


けど、それが嫌だとは不思議と思わなかった。



途中、屋敷での柳の態度を思い出して、問いかけようとしたけど。


それを訊いたら、何かが変わっちゃうような気がして…訊けなかった。



…ねぇ、柳。


あたしはあんたが、だんだん魔法使いみたいに思えてきたよ。


もっと、もっと、魔法をかけて。


雨が降るあたしの心に、虹が架けられるくらいに。





―――あたしに、愛をください。





< 64 / 200 >

この作品をシェア

pagetop