午前0時のシンデレラ

柳の手には、チケットのような紙切れ。


このふざけた舞踏会の…招待券。


「破り捨てなさい」


「はい?いやそれは…」


「じゃああたしがやる!貸しなさいっ」


柳の手から招待券を奪おうと試みたけど、あたしの右手は虚しくも宙を掴んだ。


招待券をあたしから遠ざけた柳は、真顔であたしを見た。


「…これは、この前のアイツからの招待券なんだよな?」


「………」


この前のアイツ。


柳が言ってるのは、間違いなくあたしを殴った池田のこと。


「…そうよ。だから破くの」


「あいつとお前、どっちが偉い立場なわけ?」


何でそんなこと訊くんだろう。


柳の口調が、いつの間にかいつも通りになっていたことに気づきながら、あたしは眉をひそめた。


「同じくらいよ。池田の家系とあたしの家系は、昔から繋がりがあるから」


そう言ってから、フンと鼻を鳴らした。


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