大好きな君にエールを
「…もしもし」
麻帆と電話が繋がった瞬間、俺の口から小さく震える声が出た。
「荒ちゃん、大丈夫っ!?」
まだ4つの言葉しか話していないのに麻帆には何かわかったみたいだ。
「荒ちゃん…シゲさんのことでしょ?」
麻帆が不安げに聞いてきた。『シゲさん』という単語を聞いた瞬間に俺の目尻が熱くなった。
「…麻帆…どうしよう。俺…どうしよう…」
俺らしくないか弱い本音。いつもなら誤魔化せるのに…今は…今日は無理だ。
「シゲさんが…目を覚ますか…不安すぎてしょうがない」
キャプテンや永松の言葉を裏切るわけじゃない。俺だって、シゲさんが早く目覚めることを望んでいる。
…だけど…信じきれない。祈りきれないんだ。