― Summer Drop ―
10時を過ぎても

謙太は現れなかった。

約束の時間は11時なのだけれど、

最近は謙太の方が先に来ていたから

不安が募る。




もう来てくれないんじゃないだろうか。

目をぎゅっと閉じて

そんなことはないと

自分に言い聞かせる。

教科書を広げる気さえ起きず

ただ

窓の向こうに謙太の姿が見えるのを待っていた。

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