一人じゃないよ
いつものように亜樹さんが帰ってきたら、夕飯を温めなおす。
たまには出来たてを食べてもらいたいな、なんて思うけど亜樹さんは仕事が忙しいからそれは出来ない。
そういえばあの人から預かった紙袋、いつ渡そう。
亜樹さんが夕飯を食べ終わってからでいいかな。
夕飯の温めなおしをしながらそんなことを考えていた。
「ごちそうさまでした。…美味しかったよ、ありがとう綺咲」
「……あの、亜樹さん。今日のお昼頃にお客さんがきて、これを亜樹さんにって…」
あたいはやっとそう切り出して、亜樹さんに側に置いていた紙袋を渡した。