無口なDarling
猛が私の顎に手をかけて顔を持ち上げる。
猛の顔の角度が変わって、静かに目を伏せる。
私もそれを合図に瞳を閉じた。
目を閉じると、体に触れる猛の手の感触や、自分のドキドキという心臓の音がすごく良く感じる。
・・・そして・・・
聴覚もいつもよりも敏感になってる。
ジャリ・・・
多分男の子だろうな。
ズリズリとローファーを引きづりながら、だるそうに歩いてる・・・そんな足音。
ちょっと煙草臭い。
これは猛の煙草の匂いじゃない。
「・・・」
猛も人の気配を感じたのか、目を開けて少し離れ、音がした方に振り向いた。
あまり良い雰囲気な気配では無かったので、少し自分の方に寄せる。
?
・・・猛の体があって、誰が来たのかが見えない。