無口なDarling
「大八木、犬?」
早速また千代に相談。
「そんな名前の人同じ学年にはいないよね?」
「ん~大八木君ならいるけど・・・“いぬ”なんて名前じゃないよね~」
う~ん、と二人で考えていると
「さっ、佐々木さん」
同じクラスになった男の子が話しかけて来た。
「へ?」
失礼だけど、クラス替えをしたばかりだし名前が分らない。
「えっと、何?」
「え、え、えっと・・・」
ハァーハァーと軽く汗をかいている。
(何~~!?)
彼は、少し太り気味で目が隠れる程の大きなめがねを付けていて。
分厚めの唇は潤いが無くてカサカサしている。
「おはよう」
「へ?あ、おはよー」
そう言うと、彼は真っ赤な顔をしたまま教室を出て行ってしまった。
「?」
挨拶がしたかっただけなのかな?名前知らないなんて失礼だよね。
ちゃんとクラスの人の名前覚えよう。
「澄子~大丈夫だった?」