宝石よりも
俺と美夜はその夜、美夜が眠りにつくまで話した。
「美夜は不幸を引き寄せるのかな」
美夜は何の話だろうと首を傾げている。
やれやれ、呑気なお嬢さん。
「昨夜、二人も悪者を引き寄せたのは誰だったかなぁ」
美夜はああ、と言って恥ずかしそうにすると、ティーカップを手のひらで包んだ。
「昨日は……あの人がついてきてたの気づいてたんだけど、疑ったら失礼だと思って……」
なんてことを言ってるんだろう、美夜は。
「だめだよ。疑わないと。美夜は可愛いんだから」
俺のこともすんなり許しちゃって。
挙句には家に招待してるし。
美夜は警戒ということをしないのかな?
そう思って美夜の方を見ると、頬を赤く染めて眉を下げていた。
「ずるいよ、カイ……」