宝石よりも



「さて」



男を摘まみだしたあと、女の子を振り返った。

女の子はぴくりと体を強ばらせる。



「俺は泥棒だよ。どうする?場合によっては、口封じをするかも。顔も見られてるしね」



女の子は首を振った。



「あなたは命の恩人だもん。警察には言わないよ?」



にこりと笑って、少し首を傾げた。



俺は改めて女の子を観察してみた。


着ている高校の制服からすると、俺と変わらないくらいらしい。

ストレートの茶色い髪。大きなまるい目には光が灯ってキラキラしている。


単純に、可愛い、と思う。



「泥棒さんに、これあげる」



そう言って、女の子はつけていたネックレスを俺に差し出した。

ハート型のちっちゃなルビーがついた華奢なネックレス。



「は?なんで?」



俺は受け取りながら首を傾げた。



< 7 / 103 >

この作品をシェア

pagetop