宝石よりも

「カイしかあの子を助けられない。行ってやれよ。そして気持ちをぶつけてこい」



俺と美夜の邪魔をしたくせによく言うよ。


俺がふいと海に背中を向けると、直樹が肩を掴んだ。



「逃げんの?お前はそんなに弱い奴だったのか」



今さら何を言ってんの?

俺は弱いし、臆病者だし、意気地もない奴だよ。


俺はふっと笑って肩を掴んでいる直樹の手を振り払った。



「逃げるなんて言ってないよ」



そう言って笑ってみせると、直樹もにやりと口端をあげた。



「振られてこいよ」



……余計なお世話。



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