闇の花~2人の殺し屋~



“シュッー…”



ワイヤーが一瞬にしてその男を狙った。






けど・・・・そいつの血は舞わなかった。



当たる瞬間に後ろにいた鎖紺が豪という男の襟を引っ張ってギリギリ当たらなかったのだ。


その代わりに近くにあった木材が切れて崩れた。




鎖紺以外の部下はワイヤーに気付いていないみたいで、いきなり崩れた木材に目を見開いている。


まぁ、1番驚いていたのは死ぬはずだった、豪という男。


尻もちをついて目をまんまるにして今、起こったことがイマイチ理解できてないみたい。




さっきまで騒いでいたのが嘘のように静かになる廃工場。




鎖紺以外、私の罠に気付いていないなんて情けなすぎるわ。






「だから言ったやろ。豪。ヒースに謝れや」


鎖紺の低い声が響く。






「す…すいやせんでした…」


豪はビクビクしながら私に頭を下げて他の奴らの後ろに隠れた。

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