私 の 愛 し い 人 [ホラー]
『お兄‥――』


―パチンッ


星愛の言葉を遮り渇いた音が響き渡った。
雪梛が琉輝星の頬を叩いたのだと気づくまで時間がかかった。

『せ‥なさん?』

『琉輝星!
琉輝星が腹立つのは分かるけど‥そんなこと言っちゃダメだよ‥‥‥。
たった一人の家族なんでしょ?』

雪梛は琉輝星の頬を叩き止めようとしたが、琉輝星の怒りは止まらなかった。

『‥‥‥‥そんなに‥―』

『琉輝星!』

『―‥んなに優しい兄貴がいいなら出て行け!
ここは俺が稼いで!借りてる家だ!』

玄関を開け放ち星愛に出て行くよう急かす。

『‥っ荷物まとめて出て行ってやる‥―』

『まとめんな!!!!!!!!』

かっと頭に血が上り言い返そうとした星愛の言葉を琉輝星が遮る。

意味が分からないと顔に出ていたのか琉輝星はまくし立てるように続けた。
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