たとえばこんなスクールライフ
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「せっかく他人の心を動かせる歌が歌えるのに、どうしてそんなしみったれた歌ばかり歌うんだい?もっと癒されるような…笑顔になれるような歌を歌えば、みんなもっと喜んでくれるのに」

「……」

泣きべそをかいたまま、私はそのサングラスをかけた男性、下平さんを見つめます。

「…心を動かせる歌なんて…そんな…」

「ははぁん?」

下平さんがニッと笑いました。

「才能のある者にありがちな事だ。君は自分の歌にどれだけ他人を魅了する力があるのか、わかっていないんだな。その気になれば、この世界の全ての人間を虜にするほどの力があるっていうのに」

あまりに大袈裟な下平さんの物言いに、思わず顔を赤らめてしまいます。

それに。

「『みんな喜んでくれる』って…誰も私の歌なんて聴いてくれていません…」

俯き加減に、小さく溜息混じりに私は言います。

「んー?」

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