生きる。
「和泉!!」

聞こえるのは涙花のランドセルの揺れる音とザワザワという声。


「-…!」


息が苦しい


俺はのどを押さえた。




早く


早く言わなきゃ





¨バーカ!冗談だよ。涙花が速すぎるんだよ¨


そういって涙花を怒らせなきゃ…

そう思っているうちに、今度はまるでウィルスが支配するように、俺の視界ジワジワと真っ黒になってくる。

これは貧血だー…
そう思ったときは遅かった。


「うっ…ゲホ!ゴホゴホ…」
「和泉!どうしたの?ねえ…」

今なら間に合う。


 




涙花…心配するな




そう言ったはずだけど、涙花には届いていなかった。



早く…早くおさまれよ!

「ゲッホゲホ…る…ゴホゴホ…!」




ー…俺の願いは届かなかった


「ゲホ…コホ………」
「和泉…?やだ…ちょっと…」
「…」

「救急車!!ダレカ…」





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