嘘つき③【-束縛-】

「あたし、男運ないんです」

何故こんな話をするのか自分でも分からない。だからそう言った後苦笑すると部長は続きを促す様微笑んだ。


「…初めての彼氏は、あたしが好きで仕方なくて。だけど、振られました。理由なんかその時は分からなかった。別れてもその人またあたしを抱いたから。」


だから、好きでいた。


「だけど、その人もう彼女がいて、その彼女何も知らなかったあたしに話つけに来たんです」


そう言い終えてから今の関係だって大差ないのにと思って後悔した。

だけど、部長は全く気にしてない様にあたしを見つめる。


「何故かあたしは謝って、切迫した空気に何だか馬鹿らしくなりました。」


確かに好きだったのは覚えているのに、何が、と言われたら答えられない。今の様に焦げ付くような想いじゃない、だけど、この先もやっぱり忘れないと思う。

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