天然彼女の愛し方(完全版)



「これは恋人同士の“大人のキス”ってやつ
小学生には早いだろうけど、教養として教えといてやる」


二人に向かってそう言った後
春華の方を向いてベッと舌を出した


…そんな行動により
わなわなと震えだす春華


『れ…廉君のバカァ~!』




ドンッと俺を突き飛ばすと
まだ雨が降りしきる中を走っていった



ヤバっ…



「じゃあな」


俺は春華の鞄も持つと
春華の消えた方向へ走っていった



『じゃあね!お兄ちゃん』

『…お姉ちゃんに逃げられてるようじゃダメじゃん…いてっ!』

『馬鹿ね、あれは嫌がって逃げたんじゃなくて恥ずかしがって逃げたんだって
だからシュンは…』




後ろから餓鬼二人の声が聞こえてくる

せっかく拭いた髪の毛から
雫がとめどなく滴り落ちる



「…チッ」


遠くにもう棒のようにしか見えないほどの春華を見つけると
俺は髪の毛をかき上げてまた走り出した




バシャバシャ



道路にたまった水が跳ねて制服のズボンの裾にシミを作る

足音に気づいたのか、とぼとぼ歩いていた春華が一瞬振り向いて走り出す



荷物が邪魔だ

これさえなければもっと早く追いつけるのにと思いながらも
春華との距離を縮めていく



運動部暦4年は伊達じゃない






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