天然彼女の愛し方(完全版)



「入って」

『おじゃまします…』


激しい雨の中で立っていた俺たちは全身ぐしょぬれで
一応俺のうちで雨宿りすることになった



トントンと2階からアイスをくわえて降りてきたのは
俺の妹の由香理(ユカリ)


『あ、おかえりー…って何そのびしょぬれ!?
ちょっ、ちょっと待ってて!今タオル持ってくるから!』


そう言うが早いか
俺の返事も待たずにばたばたと駆けていった


『今の…妹さん?』

そっか、春華は知らないか


「うん、一つ下で由香理って名前」

『へぇ~、私の妹と年同じだ』




「春華って…姉なんだ」

てっきり妹かと思ってた…


そこまで話していると
由香理がバスタオルを大量に持ってきた


『はい早く拭く!んで服脱いでシャワー浴びて
…お客さんが先だからね
彼女さん、私の服でよければ使いますか?』


『は、はい…』


春華はややその迫力に気おされ気味のようだ


『じゃあ早く!風引いちゃいますよ』

春華は靴を脱ぐと
すぐさま由香理に拉致された


背中を押しながら春華を誘導する由香理が一回くるっと振り返る


『あ、覗いちゃ駄目だよ~!』

「…!」


ばっ…誰がやるか!



こういうとき
心底こいつが憎らしいと思う…





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