修学旅行★幼なじみと甘いキス

――!



《…あ、あの時は直哉くんの様子が気になって
その、少し話したりとかはしてた、けど…
でもじっさい翔が今言ってるようなことは全然言われてないし、聞いてないよ》


…あ……。


「なのに何であいつも来てんの?
つーか何だって加奈子と同じ班のヤツらが
んな夜中に、わざわざお前のいる部屋に集まって楽しそうになんかしてんだよ……」


さっきまでの勢いは何だったのか、

意外にも、最後の方にはすっかり元気を無くした様子で、


翔はどこか悔しそうに頭を伏せたかと思うと、わたしからスッと手を離した。


そのまま再び黙り込んでしまった翔を前に

今も明かりは天井の照明が全部落とされているせいか、真っ暗で。


だからきっと
もしかしたらわたしの、見間違いだったのかもしれないけど…


このときフイッ…、と
まるで強がるようにしてそっぽを向いた翔の横顔が、どこか一瞬…

ウソをつかれたことに、ひどく傷ついた子供みたく映って
思わず胸の奥がズキンッ!とする。


そんな翔に激しく動揺して
わたしは焦ったように口を動かした。
< 326 / 473 >

この作品をシェア

pagetop