修学旅行★幼なじみと甘いキス
「やっ……!」


でもその瞬間、怖くなったわたしはとっさに翔の体を押しのけていた。

その声で我にかえったように、翔がわたしからバッ!と手を離す。


「あ…翔、ご、ごめ…」

「……」


ドクン
ドクン


とにかく動揺していて

何が起きたのか、分からなくて。




「…きょ、今日はもう帰る」



顔を背けたきり黙っている翔のことが気になりながらも

わたしは逃げるようにここから駆け出し、家のドアを開けて中へ入る。



でもこのとき

家のドアが閉まって向こうが見えなくなる、わずかな隙間。


なんとなく

なんとなくだけど…


翔がやるせない目をして
こっちを、見ていた気がした。
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