【完】アニキ、ときどきキス
「私のこと、そんなに嫌い?」


私の言葉に穂高はハッとして顔をあげる。


「き、らいじゃ・・・・・・」


穂高の目に涙がたまる。


「ただっ、」


穂高が言葉を詰まらせながら、必死で言葉を探しているのが分かった。

私は穂高の手をそっと握る。


「き、のう、ヒック・・・優しくしてくれて嬉しかったんです」


「うん」


「なのにっ、北原先生が遥と楽しそうに買い物するの見て、遥が羨ましくてヒッ、ずるくて・・・・・・」


昨日の買い物、穂高に見られてたんだ。


「私だって、ああして優しくされたいですわ。
見て、エッ、欲しい・・・・・・」


私は穂高をキュっと抱きしめた。


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