君の詩を聴かせて
今日も円香を避け続けて、やっと放課後。
「…大和」
「ん、何?」
「…来て」
そう言われながら手を引っ張られてついていく。
鞄、持ってきてないし…。
どこに行くんだ?
…もしかして、円香のところだったり…する?
他人に無関心な琉愛だけど、今回は何かと関わってくるし…。
歩いている途中、白のカーディガンを着てる子とすれ違った。
思わず動きが止まる。
その色、は……。
そこで、屋上近くの踊り場に着いた。
「…琉愛?」
琉愛は一体、何を話すつもりなんだろう。
いや、本当はわかってる。
でも俺には、応えられないんだよ…。
「…川口さん、避けられてて可哀想」
「…あのね、琉愛。
これにはちゃんとした理由があるんだ」
「…大したことなさそう」
……このやろう。
確かに避けてる俺も悪いのかもしれない。
円香は毎日、俺のクラスに来ているんだから。
でも、それでも…。
もう近付かないように離れたのに
これじゃ、意味ないだろ…。