君の詩を聴かせて






 今日も円香を避け続けて、やっと放課後。


「…大和」

「ん、何?」

「…来て」


 そう言われながら手を引っ張られてついていく。

 鞄、持ってきてないし…。

 どこに行くんだ?

 …もしかして、円香のところだったり…する?

 他人に無関心な琉愛だけど、今回は何かと関わってくるし…。

 歩いている途中、白のカーディガンを着てる子とすれ違った。

 思わず動きが止まる。

 その色、は……。

 そこで、屋上近くの踊り場に着いた。


「…琉愛?」


 琉愛は一体、何を話すつもりなんだろう。

 いや、本当はわかってる。

 でも俺には、応えられないんだよ…。


「…川口さん、避けられてて可哀想」

「…あのね、琉愛。
 これにはちゃんとした理由があるんだ」

「…大したことなさそう」


 ……このやろう。

 確かに避けてる俺も悪いのかもしれない。

 円香は毎日、俺のクラスに来ているんだから。

 でも、それでも…。

 もう近付かないように離れたのに

 これじゃ、意味ないだろ…。



< 103 / 104 >

この作品をシェア

pagetop