君の詩を聴かせて



「俺は、円香の気持ちに応えられないから離れたんだよ」

「…逃げたんだ」

「違う」

「違わない、大和は逃げたんだ」

「違う…っ」


 逃げてなんか、ない。た

 だ気持ちに応えられないのに一緒にいるのが嫌だったから。

 ただ、それだけで。

 ――これは逃げなのか?


「…大和は川口さんの気持ちから逃げたんだよ」


 だって…仕方ない、だろ。

 琉愛から目を逸らした。

 俺は円香と同じ気持ちにはなれない。

 だから離れた、それだけなんだ。


「俺は…同じになれないから」


 自分で作った歌詞が思い浮かんだ。

 あのうたの通りだよ、


「俺は…欠陥人間だから…」


 普通のフリなんか出来ない。

 悲しい、も

 嬉しい、も

 わからないんだよ…っ!

 ただキツいか楽か、それしかわからないんだ…っ!


「…大和は欠陥人間なんかじゃないと思う」

「は……」

「…私も、欠陥人間じゃないと思う」

「琉愛…頭大丈夫?」


 たまに琉愛の脳みそがすごく心配になるんだけど。



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