君の詩を聴かせて


 いい匂いなんだろうけど、何か頭に来る。

 イラついてるわけじゃないんだけど。

 ふと隣を見ると、円香が小さく感じた。

 そういえば3センチくらい伸びたんだっけ。

 今まで意識してなかった。


「大和は…背伸びたね」

「ああ、やっぱり?」

「うん、それから…もしかして髪染めた?」


 チョコレートブラウンの前髪を摘まむ。

 そんなにわかるかな。

 母さんも何も言って来なかったから気にしてなかったけど。

 もっと明るい奴いるし。

 例えば…琉愛とか、安部さんとか。


「うん、染めたよ。
 あ、俺牛乳買ってかなきゃだから、ばいばい」

「あ…うん。ばいばい…」


 手を振って別れたあと、スーパーに立ち寄った。

 ふと鏡に映った自分を見る。

 そんなに変わったかな…?

 自分じゃわからない。

 けど、俺が変わってる分円香も変わっていて


「……スカート、短かったな」


 あれじゃ中3の始めの頃と一緒だ。

 それから、香水。

 好きじゃないって言ってたのに。



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