ヒレン
「おかえり」


「視界良好」


和真は部長の北真に声をかけた。


「北、もう飲んでるの?」


微かに香るアルコールに智子は疑問を投げかける。


「少しだけ。酔ってないから大丈夫」


ため息を1つつくと


「間違っても和くんに呑ませないでよ」


「わかってるって。そっちもあまりいちゃつくなよ」


軽くデコピンをすると、新顔の3人の方へ歩いていった。


「集合、知っている奴もいると思うが、全員揃ったから1年生を紹介するぞ。一人ひとり簡単に自己紹介頼むな」


北の隣にいた人物から自己紹介を始めた。


「石川百合です。看護科です。高校のときも天文部に入っていました、よろしくお願いします」


「医学科の福島愛梨です、特技はバスケットボールです、よろしくお願いします」


「医学科の北秀明です。一応塚原先輩の後輩です。よろしくお願いします」


「終り。上行くぞ」


全員でぞろぞろと階段を上る。スニーカー、ヒール、いろいろな足音が混ざり合う。


屋上まで上がると和真は秀明を捕まえた。


「またよろしくな」


「こちらこそよろしくお願いします」


そう言って高い位置で強く手を握り合った。


「智子」


柵の近くで真と話し込んでいる智子を呼んだ。


「じゃあ、そういうことで。ちょっと何?」


建物の中にいる二人の下へ駆けて行く。

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