ヒレン
第5章 追想

Bibliothek ~図書館~

「あった」



図書館で文献を探していた智子は目当ての本を見つけると背伸びをして手を伸ばした。


4年生となり、忙しさも増してきた。


「うーん。届かない」


あたりを見渡したが、脚立は見当たらない。


「これですか?」


後ろから声がすると肩越しに本を手渡された。


「あ、ありがとう」


「和真先輩と一緒じゃないんですか?」


「和くん?合宿に行っているけど。本棚高すぎ」


同じ高さの棚にもう1度手を伸ばす


「取りますよ」


智子の手の先にあった本に手を伸ばす。


「ありがとう。高いんだよね」


「先輩が小さいせいだと思いますが」


そう言いながら智子の頭の上に本を置いた。


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