ヒレン
「ありがとう。助かった」

「よく使う本は下のほうにおいておけばいいでしょ」


そう言ってカップに口元に運ぼうとすると、智子がそのカップを持ち上げた。


「淹れなおすわ」


新しい紅茶を入れたカップを秀明に渡すと椅子に座り、パソコンに向かう。背中を向けた。


空に浮かぶのはフルムーン



闇に染まった空を、星の瞬きを消すかのように光り輝いている。

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