ヒレン

講義

オリエンテーションも終り週が明けると授業が本格的に始まった。

専門科目の概論の授業は水曜日の3時限目。


これからどんどん専門化していく授業に

舞子は胸を膨らませていた。


「初めまして。長崎智子です。前期の概論の授業を担当します。この授業は必修なのでみなさん、しっかり勉強してくださいね。」


定員の60人を二つに分けた30人ずつのクラス。

「じゃあ授業内容の説明に入ります。」


1時間ほどでガイダンスが終了すると早めに授業が終わった。


隣で授業をしているもう片方のクラスはまだ授業中のようで、


学生たちは静かに教室を後にした。

舞子も廊下に出て、携帯を確認した。

メールと着信が1件ずつ。メールを開こうとしたとき、隣のクラスからも学生たちが出てきた。

話をしながら舞子の前を通り過ぎて行く。

開けられた扉から見えた顔。冷たく、人を寄せ付けそうにない。

しかし整った顔立ち。


「あれが北先生?」

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