アナタダケ。
「あー、もう席につかなくていいぞ。それより今から始業式だから体育館に行けよー」


…ちょっと焦った自分が馬鹿みたいだと思った。


「莉紗~早く行こうよ~」

そう声を掛けてくるのは、私の唯一の親友の相沢詩帆だ。

詩帆とは小学校からの付き合いで、お互いのことなら何でも分かるといったかなり深い仲だ。

「ねぇ、この春休みは何かいいコトあった?」

詩帆の言う"いいコト"というのはきっと男関係のことだと思い、もちろんそんなことは全然なかったから、

「ある訳ないじゃん…いつもいつも詩帆はそればっかり聞いてくるよね」

「だって莉紗にもあつぅい燃えるような恋して欲しいんだもん!!」

間髪入れずにすぐに返事が返ってくる。

「だって欲しくなるような男の子がいないんだもん」

「うわぁ…せっかく莉紗って可愛いのに…」


どこが可愛いんだ?と思ったが敢えて口には出さなかった。

また色々と言われるだろうことが予測出来るからね。


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