王様ゲーム
ただ黙って借りてきた猫のように
ちょこんと高級ソファに座る。


Ryuseyはどこかに電話
をし、しばらくしてメイドが
お茶を持ってきた。
メイドはお茶を置くやいなや
Ryuseyに抱きつきキスを
した。
私はとっさに目を逸らした。
そんな私を見て、二人はなにやら
英語で話して笑っている。

(あぁもう本当に帰りたい…)


メイドが名残惜しそうに出て
行くと、Ryuseyは
向かいの席に座った。

視線が痛い。

「お茶、どうぞ。」

『あ、はぁ…。』


返事をするのが精一杯だった。

「驚いたかな、たくさんの女の子がいて」

そう静かに笑いながら言われ、返事に困り黙っていた。

「今、家のことはメイドに
やってもらっているんだけど、
どうしてもいさかいが
絶えなくてね。
まぁもともと僕がたくさん
雇ったのがいけなかったんだけど。
容姿だけで選んだからね。
仕事はしないで一日中鏡
見てるだけだから家が
片付かなくて。
無給で雇ってる分、僕の愛
をあげてるんだけど。

家が片付かないからメイド
達をやめさせて全員彼女に
することにしたんだ。だか
ら家政婦さんが必要になっ
たってわけ。」

『はぁ…。』

もう現実の話だかなんだかわからない。

「しかし、30歳以上で募集
したからもっと上の人がくるか
と思ったけど…」


『あ、だ、大丈夫です、私は辞退させていただきますから…本当にもう帰ってよろしいでしょうか?』

と、おそるおそる小さい声で聞いた。


「それはダメだね、ここに
足を踏み入れたら僕の言う
ことは絶対だから。
君を雇うと決めたから。」

私は唖然とした。
ここで働くなんて地獄だ。

惨めになり、スゴそうな
女の子の間でなんてやれっこない。


給料が高いのもなんとなく頷ける。


まるで昼ドラの世界だ。
ぐるぐる色んな思いが頭をめぐった。

『え、あの、なぜ?』

顔を引きつらせながら
精一杯の笑顔で聞いた。


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