王様ゲーム
王様との出会い
次の日、娘を保育園に送り、
家に戻ると引っ越し屋が
来ていた。

(本当にきたよ、マジですか?)


手際よく積み上げ、私も乗り込み
トラックはあの王国へと
向かった。

これからどうなるのか
まったく予想できなかった。

たくさんの女たち、奇妙な関係。
あんな大きな家を、1人で
どうしろというのか?
ついでに言えば育児だって
あるんだぞ!

考えれば考えるほど不安に
なった。

−−王様の言うことは絶対−−

笑えない。


そうこうしている間にもう
着いていた。

トラックを降りると一人の男が近づいてきた。

Ryusey程ではないが
整ったかわいらしい顔立ちの若い男だった。

イケメンを直視できない私は
挙動不審で会釈をした。

「愛美さんですよね?
はじめまして、大神隼人
(おおがみはやと)です。
Ryuseyさんの取り巻きの
一人ですっ!ちなみに今日から
僕が愛美さんを案内して色々教え
ますんで。よろしくお願い
しますっ!」

(ものすごくさわやかな風が
吹き抜けたなぁ…

って、え?!私を案内?この
さわやか好青年が?)


本当にイケメン苦手な私は変な汗をかいていた。

『よ、よろしくお願いします』


悟られないように目を合わさず
そういうと、隼人くんは
嬉しそうに笑った。

「なんか愛美さんって、ここに
いる女の子たちと違ってすごく
親しみやすそうでうれしいなぁ」

(はいはい、私は味噌汁かけ
ご飯ですから…)

でも、子犬みたいに笑う隼人
くんを見て、私はただ笑うしか
なかった。この王国にいて
こんな無邪気な笑顔になれる
君はすごいよ。

不安な気持ちが少しだけ溶けた
気がした。

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