オオカミなんか
怖くないっ!!
「はあ??」
男は
驚きと焦りと
かなりの怒りのこもった声をあげた。
「つまんない、って
何それ」
「つまんないから
つまんないって言ってんの」
男は何が起こってるのかさっぱり分からない、と言った顔でアタシをまっすぐに見てる。
「それくらいで
アタシとヤレると思わないで」
「え………?」
男は泣きそうな顔でアタシを見る。
雨に降られた捨て犬みたいだ、なんて思いながらアタシは外されかかった胸元のボタンをはめ直す。
「帰る」
そう、言い残すと
キーホルダーやらリボンやらバレッタやらその他諸々で飾り立てられたカバンを手に
男の部屋を出た。
「ミツキーー……」
階段の上から
男の情けない声が聞こえる。
アタシは黙って
階段を駆け下りた。