ソレデモワタシハアナタヲアイス
幼稚園児の夢
「なあなあ、サキ、なんでおまえそんなに職員室に呼ばれてるワケ?」
そういえば空人の言う通りだ。
成績になんの問題のない美咲は、何故か頻繁に職員室からお呼ばれされていた。
性格に問題があるにしろ今の美咲は空人のおかげでかなりマシになっているし、生活指導をされる程の事はしていないはずだ。
それになんだかんだと言いながらも美咲は毎日の呼び出しにちゃんと応じていた。
「進路だよ。先生しつこくて疲れる」
美咲は思い出して溜め息をついた。
「あれ?美咲、国立に決めてなかったっけ?家、出る気ないんだよね?」
もちろん親友として卒業後の美咲の予定を知っている真由子が不思議そうに聞いた。
「希望は国立。変わってないよ。家、出るつもりもないし」
美咲は頬杖をついて空人をチラリと見た。
「…国立は国立でももっとレベル高い東京の国立受けろって…」
俺と真由子の驚きよりもショックが大きかったらしい空人が目を見開いた。
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