ソレデモワタシハアナタヲアイス
「リュウって意外に体温高いよね」
少しの沈黙の後、美咲が口を開いた。
「普通だと思うよ。美咲が低過ぎなんだじゃない?5度前半?」
俺は、少しふざけて抱きしめる腕に力を入れた。
「裸の人間抱きしめて体温当てるってどうよ?」
美咲は、バカバカしいと言うように溜め息をついた。
「ソラの方が体温高そう」
そして、ためらう事なく空人の名前を出して来た。
「高そうって実際どうだったの?」
俺は、美咲から腕を解いて、まくらに頬杖をつきながらニヤついてみた。
「手は温かかったかな?あとは知らない。私、ソラとはヤッてないから」
俺の腕から解放された美咲は、寝返りをうって、俺と向かい合った。
「意外?」
唖然とする俺に、今度は美咲がニヤついた。
「ソラが私にしたのはコレだけ」
返事を返せない俺に、美咲は自分の耳を触ってみせた。
美咲の耳には、いつもシンプルなピアスが飾られている。
それは、空人が悩んだ末に取った行動の結果だった。
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