ソレデモワタシハアナタヲアイス

「へぇ…」
相沢さんは、微妙な顔をして美咲を観察し始めた。
「…何か？」
初対面の相沢さんに、マジマジと見られた美咲は、素直にムッとした。
「いえ。なんでも」
美咲のキレイな顔に見返された相沢さんは、負けを認めたのか、急に大人しくなって連れて来た友人を紹介した。
―――これでちょっとは楽になるかな？―――
今日、美咲をここに連れて来たのは、相沢さんに会わせたかったという理由もあった。
俺は、相沢さんが自分に好意を持っている事に気付いていた。
直接、何かを言われたわけではないけれど、俺は気付いていながら、気付いていないフリをしていた。
今の俺にとって、美咲以外の女は、はっきり言ってどうでも良かったけれど、会社の人間は仕事上の付き合いもある。
雰囲気が悪くなるのは、出来れば避けたかった。
手っ取り早く相沢さんを遠避けるには、カノジョとして直接美咲を会わせるのが１番だと思っていた俺にとって、今日の球技大会は、まさに打ってつけのイベントだった。
案の定、美咲を見た相沢さんは、明らかに動揺している。