ソレデモワタシハアナタヲアイス
美咲の想い
空人が突然、私の事を好きだと言った。
本当にあまりにも急な状況に私の頭は何も考える事が出来なかった。
そんな私がやっと言えた言葉は「考える」だった。
好きか嫌いかと聞かれればもちろん好きになる。
けれど、それは友達としての好きで、今まで私は空人に対してそれ以上の感情を持った事がないのが事実だった。
あの時、私の目を隠した空人の手が、触れた私の手よりも温かかった事を変に覚えている。
「で、どうするの?」
携帯の向こうから少し楽しげな真由子の声が迫って来た。
「…分かんないから相談してるんでしょ?」
私は意を決して真由子に相談をしてみた。
こんな一大事な事をなんとか切り出したのに、真由子のリアクションは今一つだった。
「空人の事、嫌いなの?」
「まさか!友達だし!」
これにはもちろん即答出来る。
「じゃ、恋愛感情として好き?」
「…」
この質問はダメだ。
答えを用意出来ない。
< 82 / 435 >

この作品をシェア

pagetop