【短編集】エーテルの底で


「待ってー!」

二階の自室から家の扉前まで迎えにきている亮平にきこえるように叫んだ。

あたしは髪型やスカート丈の最終チェックをして、慌ただしく階段を降りた。

「遅いし!」

「ごめんって!髪の毛がなかなか上手く巻けなくて……!」

「早くいこーぜ!卒業式に遅刻なんてシャレになんねーよ!」


亮平は自転車にまたがって、あたしがその後ろに乗ると勢いよくペダルを漕ぎはじめた。


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